針と糸さえあればどこでもできる編み物は、ゆっくり過ごすおうち時間にぴったり。
今回は編み物の中でも、棒針で作るレース編みの本をご紹介します。
棒針編みのレース編みって?
編み物にはざっくり分けると棒針編みとかぎ針編みがありますが「レース編み」というとかぎ針編みを想像される方が多いのではないでしょうか?
もちろんかぎ針でも素敵なレースが編めますが、棒針のレース編みも素敵なんですよ♪
棒針のレース編みはとても繊細に編むことができ、世界的にも人気です。
英語では「ニッティングレース(knitting lace)」といいます。
(かぎ針のレースは「クロッシェレース(crochet lace)」と言います。)
作品としてはショールやドイリーなどがよく編まれますが、小物やウェアの図案もありますよ。
小物などは目が少ないので2本針や5本針などの棒針、目の多い大物は長めの輪針がおすすめです。(目数が多くなると棒針では長さが足りなくなるため)
細い糸を太めの針で編むため、編みあがりは軽くて薄く、そして暖か。細い糸で編まれたショールは指輪にも通ってしまうほど薄いんです。「結婚指輪のショール」(Wedding Ring Shawl)と呼ばれます。
世界のレース編み 4種類
それではここから世界的によく知られるレース編み4種類を、おすすめの本とともにご紹介します。
シェットランドレース
タイトル
シェットランド・レース 棒針で編む伝統のレース ショール、ストール、カラー
著 嶋田俊之
スコットランド北東のシェットランド諸島が発祥のシェットランドレース。
傾向としてはエレガントな模様となることが多く、19世紀英国で開催された万国博覧会に出品され有名になりました。英国ヴィクトリア女王もシェットランドレースを愛用されていたといいます。
本場ではシェットランドウール(シェットランド・シープから採れる羊毛)を用いて作られます。
海沿いで育つ羊の毛はとても細く柔らかで、暖かいんです!
シェットランドレースは日本でも有名なので、日本語の本も出版されています。
特に嶋田俊之さんの「シェットランド・レース」は、編み方をシンプルにしたり、縁編みを後から編みつける方法にしたりと、編みやすくなっています。
ぜひ、挑戦してみてください!
ハプサルレース
タイトル エストニアで習ったレース ―マフラー、リストウォーマー、ポーチetc.
著 林ことみ
タイトル 編みものともだち
著 三國万里子
バルト三国の1つエストニアで生まれたハプサル(ハープサル)レース。
一番の特徴は「エストニアンノップ」という玉編みがパターンに組み込まれていること。
抜いた目と毛糸が集まった目の対比で柄が分かりやすいです。また自然的でかわいらしい模様が多いようです。
三國万里子さんの「編みものともだち」はハプサルレース専門書ではありませんが、掲載されている「すずらんのレース」というパターンが可愛く人気が高いです。
オレンブルグレース
タイトル The Gossamer Webs Design Collection: Three Orenburg Shawls to Knit
著 Galina Khmeleva
ロシアのオレンブルグ州のレース編み「オレンブルグレース」。
オレンブルグはカザフスタンの隣に位置しているためか、菱形モチーフが用いられる柄はやや幾何学的で、エキゾチックな神秘性を感じます。
伝統的にはヤギの毛糸で編まれるようですが、もちろん毛糸で編むことができます!
そんなオレンブルグレースですが、日本ではまだまだマイナーで、日本語の本は出ていません。
海外の本やパターンを使用するので、外国語が苦手だとちょっと難しく感じるかもしれませんが、そのぶん語学の勉強や練習になるので挑戦してみてはいかがでしょうか。
クンストレース
タイトル Kunststrick-Decken, entworfen von Herbert Niebling: Beyer-Band
著 Herbert Niebling
タイトル First Book of Modern Lace Knitting (Dover Knitting, Crochet, Tatting, Lace)
著 Marianne Kinzel
タイトル 毛糸だま 2021年夏号 vol.190
ドイツで生まれた「クンストレース」。正式には「クンスト・ストリッケン・レース」といいます。
少し長いので、日本ではよく「クンストレース」の通称が使われます。
クンストレースは基本的に5本針を用いて、中心から編み始めることが多いです。
輪編みの要領で引き返さずぐるぐると編み進めます。
ドイリーを編みたいなら、特にクンストレースがおすすめです。
しかし、残念ながら発売された本の大半は廃盤であったりプレミアが付いたりしています。
冒頭に載せた3冊は(2022年現在)定価で売られている本を選びました。
「Kunststrick-Decken」はドイツ語の本ですが、半分ほどは編み図付きです。
「First Book of Modern Lace Knitting」は一部クンストレースが掲載されているようです。Kindle版もありますよ。
「毛糸だま 2021夏号 vol.190」にはモチーフ編みの「クンストレースのプルオーバー」が載っています。
もし編み物に慣れていて、編み地のアレンジや編み図を作れる方には、図案集もおすすめです!
シェットランドレース を編みたいなら「一年中楽しめる透かし編みの模様82」、ハプサルレースを編みたいなら「ニッティングレース」がおすすめです。
280種類もの模様が掲載された「透かし模様280」は、ウェアなど普段使いの編みたい時に使えますよ。
※「ニッティングレース」はプレミア価格となっています(2022年現在)ので、最寄りの図書館で探してみるのもいいですね。
でも、レース編みって難しそう……?
極細糸のレース編み、と聞くとなんだか上級者向け?と思ってしまうかもしれませんね。
でも、本に掲載されている作品の中には合細〜合太程度の糸で編んだり、小物サイズのものもあります。
ウェアのように厳密に大きさを調節する必要がないショールなんかも、軽い気持ちで編むことができちゃいますよ!
クンスト以外は基本的にガーター編みなので、平編みする場合は表編みが続くのも楽なポイント。
簡単に覚えられる「表編み」、「かけ目」、「二目一度」、の3種類を使って編める図案も多いです。
また、コットンやリネンで編んだアイテムは暖かい季節にも使えます。
夏場の冷房対策にもおすすめです!
もし「素敵だな」と思ったら、ぜひ挑戦してみてください!
自分が心惹かれる物を編みましょう♪
おまけ:練習用の糸のススメ
最初に高価な外国製の糸を使うのは気が引ける……でも練習してみたい!
そんな方におすすめなのが100均の毛糸!
普通に売っている毛糸だと太いので、ほぐして使います。
ちょっと手間はかかってしまうのですが、なにしろ安いので練習にはもってこいですよ。
Seria カッペリーニ
株式会社リュッシュの毛糸です。
アクリル100%、糸長58m。
推奨使用棒針は7〜9号なので、本来は並太程度の毛糸です。
この糸の良いところは6本取りということ。
ほぐして繋げると、単純計算で348mになります。100円で348mはかなり破格です!
ほぐして一本にした時の細さは合細〜極細程度になります。
ダイソー Airy knit
アクリル100%、糸長11m。
腕編みスヌードが作れるくらいの太さの「エアリーニット」。
実はこの毛糸一本自体が、輪編みされた状態なんです!
毛がふわふわ起毛していてモヘアっぽさがあるのが特徴的です。
ほぐしてみるとかなりの長さになります。
編まれている状態なので、普通の毛糸より楽にほどくことができます。
注意点!
どちらもアクリル毛糸なので、「ブロッキング」という形を整える作業をしても、ウールのように柄は出ません。
ウールやコットンのような天然繊維は、濡らした編み地を張る、もしくは編み地を張ってからスチームを当てることで、張った時の形が保たれます。
アクリル毛糸は天然繊維のようには形が保たれず、元に戻ってしまいます。
ですので、アクリル毛糸を使う場合は練習や形を出さなくてもいいような物を編むのがおすすめです。
アクリル毛糸には「糸が強い」という利点もあります。
引っ張りすぎたり何度も編み直すうちに糸がちぎれてしまう……というのも起きにくいですよ。
それでは、楽しい編み物ライフをお過ごしください♪