Popitについて記事にするのは3回目となる今回。なんと、Popit社とFiache.編集部でオンライン座談会を開催しました! 服薬管理の新定番・Popitは、なぜ誕生したのか?どんな風に活躍しているのか?気になる今後の展開も聞いちゃいました!
座談会参加メンバー
郁枝さん
Popitで日本向けマーケ&営業を担当している。フィンランドに18年在住の小6男児の母。
イオリ
Fiache.編集部。たまにお薬を飲み忘れることがあった。
kano
Fiache.編集部。お薬の飲み忘れが多く、薬剤師さんに叱られていた。
tama
Fiache.編集部。ADHDがあり、お薬の飲み忘れが多く困っていた。
Fiache.編集部から参加したメンバーは、Popit Senseを使って薬の飲み忘れ防止効果を実感した3人。体験の内容は、前回の記事で紹介しています!
Popitの始まりと今
今日はよろしくお願いします!
郁枝さん、はじめにPopitのご紹介をお願いできますか?
はい。私はPopitに入ったのが2021年の夏で、今2年目になります。会社としてのPopitは、創業者たちがサイドビジネスとして始めたものを、2017年に会社として立ち上げました。
元々、創業者の1人が整形外科医をやっていまして、お薬を飲んでいない・飲み忘れた患者さんが、再入院をしたり、手術がまた必要だったりというのを多々目の当たりにして、お薬を飲み忘れてしまうのをどうやったらスマートに防げるかということに目を向けました。リマインダーアプリはたくさんあるけれど、スヌーズしてほったらかして飲み忘れてしまう、というのも多々あるので、お薬のシートにぱちっとつけたままトラッキングできるツールを作りたいと思い、いろいろな開発をした結果、今のPopitの形と機能になりました。
Popitは医療の現場から生まれたんですね。
初めは、低用量ピルの「毎日しっかり飲んで、休薬して」という厳しいルールで服薬される方をターゲットに市場に出しました。資金もそういった活動を経た後に得て、会社として少しずつ成長をし続けています。
2〜3年前からは、製薬会社さんを通して、治療領域のお薬と合わせてPopitを提供するルート+戦略にシフトしました。今はコンシューマ向けにも売っていますけれど、主なルートとしてはBtoBに力を入れているという形です。
私が入った時は、インターナショナルな製薬会社さんとの契約があったんですけれど、そのうちの日本市場での展開が始まったところでした。日本人とのビジネスには日本語を話せる人が必要、と経営者の方は思ったようです。私も、フィンランドに住んで大企業での経験もあったんですけれど日本人のお客さんとお話をするという経験がなかったので、次は日本とフィンランドの橋掛けになるような仕事をしたいなというタイミングと合って、Popitに入社しました。
その後、日本のお客様にPopitを導入するプロジェクト管理などをして、今、日本の患者さんも使い始めているところです。
日本でも有名な製薬会社さんなんでしょうか?
その会社さんは(アメリカに本社を置く)国際的な製薬会社で、日本支社もあります。その会社以外にも製薬会社さんにどんどんアプローチしているんですけれども、営業活動がフィンランドからのアプローチになり、アポを取るのもかなりハードルが高いですね。また、こういったソリューションをお薬と共に導入するのは製薬会社様にも新しいことなので、さまざまな考査も入ります。
実は昨年「北欧スタートアップ派遣団」の一員として弊社も日本に行きました。その際面談させていただいた数社とも引き続きお話しをさせて頂いていまして、今後が注目されます。
Popitはフィンランドの会社なんですけど、市場的にはフィンランドを見ているというよりは国際的なマーケットを見ています。先ほど申し上げた国際的な製薬会社さんとのグローバル契約がブレークスルーでした。これを機に、この会社の各国マーケット、例えばフィンランド、オーストリア、ポルトガル、スウェーデン、日本、そして最近ではオーストラリア市場に導入しました。
ワールドワイドですね!
ワールドワイドになりたいところなんですけど、まだ道のりは長いというか。なんせスタートアップで資金も必要になるので、営業+資金集めに忙しくしています。
資金集めも長いプロセスで、すぐに「はい1億」とかいう話にはならないんです。資金が集まれば人も雇いたいし、日本でのマーケティングだとか、ディストリビューションの拡大とかにも力を入れていきたいんですけど、今は限られるところがありますね。
今話題!のフェムテックとPopit
やっと最近、日本でもフェムテックとか言われてきて、自分の周りのことがテクノロジーで解決できるんだよ、と広まりつつあるところなんですよね。
そうですね、どんどんそう言ったセルフケアみたいな意識は高まってきていると思います。
去年の10月に日本に出張させてもらえる機会があったんですけど、その時にフェムテックフェスというイベントを、我々のパートナーであるフェルマータが開催しました。フェルマータは、フェムテックのお役立ちグッズをオンライン+店頭を使って販売している会社で、Popitもそこで扱っていただいています。
フェムテックフェスに顔を出して、Popitとのスタンドで見ていたんですけど、すごい熱狂ぶりでした。3日間のイベントで、1日目は会社の人事の方向け、残り2日は一般の方向けで、女性がほとんどだったんですけど一般の方がたくさん来ていました。
1日目は人事の方向けっていうのがあったので、こういうフェムテックのお役立ちグッズやソリューションは、企業の人事さんも自分たちの従業員に向けて揃えていきたいという意識になってきているんだなとびっくりしました。従業員のウェルビーイングとか、フェムケアとかに目が向く時代になったんだなという気はします。
福利厚生として産後ケアの利用権がつく会社もありますもんね。
そうですね、フェムテックフェスのブースでも、妊活キットがありました。日本って、世界に筆頭して不妊率が高くみなさん本当に困っているらしいんです。その妊活キットを月々サブスクリプション形式で送ってくれるサービスで、妊活キットの中には、自分のホルモン度をチェックできるようなツールが入っているそうです。
他にも、ナプキンが必要ない生理用ショーツや、膣の中をクリーニングするジェル、タンポンみたいな感じで液が出て洗浄してくれるみたいなものも出ていました。
女性の中には、彼氏と来ている人もいて、若い人も多かったですけど、更年期障害もフェムテックの一部なので、更年期障害の症状を和らげるようなものもあったり、パネルディスカッションでは更年期障害との付き合い方みたいなトピックもあったり、産婦人科の先生が「どんな風にチェックするべきか」「更年期になる前にこうしたほうがいい」とか「更年期に入った時はこうやって付き合っていくといい」とかお役立ち情報があって、私も学びになりました。
なので、日本は大きなマーケットなのかなと思いますね。日本人の女性って自分磨きとか頑張るタイプなので、こういったグッズが出るとみんな興味を持っていますよね。
行ったことありますか? フェムテックフェスとか、フェムテック関連で何か。
全然ないんです。Popitを使わせていただけるとなった時に、改めて調べてみて、日本でもこんなに普及しだしている、だんだん使い始めてる言葉なんだと思いました。
お話を聞いていて、少し前の日本って多分、自分への関心があってもあまり出せないとか、どうしたらいいかわからないとか、フェムテックの技術自体もそんなに知られていないとか。知りたくても知らない状況だったのが、だんだん変わってきているなって思いましたね。
そうですね、私もフェムテックフェスで聞いたんですけど、「誰にも話せない」とか「オープンに相談できない」とか、誰もこんなこと話さないよねって思ってたけど、みんな同じ悩みを抱えてるってことが今になってわかって来ている。例えば、生理痛がひどくて会社を休まないといけない時って言いにくかったじゃないですか。でも最近は、そういった生理痛を和らげるツールも出てきているし、生理痛があるってことや、生理に伴っていろんな症状があるっていうことをオープンに話し合える時期になってきているなと思いますね。
日本だと「ここ最近」って印象なんですけど、フィンランドはどうなんでしょうか? フェムテックとかヘルステックとかの広がりって。
私の印象ではここ最近なイメージはあるんですけど、フィンランドって小さい国なので、日本みたいに1個流行るとメディアがバーッて宣伝するというスピード感はないんです。
お店に行ってお化粧品やスキンケア商品のところにオーガニック化粧品が置かれたのは、日本よりも早かったんですけど、でも月経カップは結構早く、10年くらい前から売り始められていた気がします。日本でも最近月経カップがいいって聞きますよね。でも、月経カップを使っている人が大部分かというとそうではないです。私も勧められるんですけど、まだ試したことはないんです。けれど試した人からは「使ってみたらもう戻れない」とよく聞きます。
フィンランドでは、静かに、ちょっとずつそんな商品が出てきてるって感じです。
日本のフェムテックに行った時には「こんなの売ってない!」みたいなものが売っていて、日本の市場って大きいから、いろんな海外のフェムテック会社も日本をターゲットに来ると思うんですけど、フィンランドって市場が小さいので、そんなにガンガン来ないから静かにお店で売っているんだと思います。
面白いです。そうやって聞くと、国の違いを感じますね。
フェムテック専門店、というよりも大人のおもちゃのお店なんかはオープンにあるんですけどね。フェムテックフェスにもおもちゃ系のものもありましたね。そういったものもオープンになってきているという感じで、彼氏と一緒に買いに来たりとか。
やっぱり時代の変化を感じますね。今まではオープンではなかったと思うので。
東京って特に独立した女性が多いじゃないですか。そういう意識が高い人や、金銭的な余裕がある女性、ちゃんと働いて、自律して、っていう女性が特に日本の都心は多いと思います。
次のページでは、慢性疾患や発達障害などのフィールドでのPopitの広がりについて語り合います!